23/11/2020

上場リース会社Q3: リース料延滞要請鈍るも厳しい冬で戻る可能性

Public lessors Q3: Airline rent deferral demands dip but could return as winter approaches

注:本記事は英語にて発行されており、日本語翻訳はあくまで参照です。

この日本語版は、読者のご理解の参考までに作成したものであり、英語版記事の補助的なものであるため、英語版が(正)となります旨、ご了承ください。

 

 エアリースコーポレーション(ALC)、エアキャップ、フライリーシングの上場リース会社3社の第三四半期におけるリース料延滞の要請は、今年第1四半期と比較しわずか10%にあたる計約4,500万ドルであったと報告された。これは、エアラインからの要請が減速したためであるが、ALCのSteven Udvar-Hazy氏は冬季にかけ、レッサーからの支援を必要とする航空会社が今後出てくると思われ、この傾向は逆転する可能性があると警告する。

 3社は、今年第一四半期に3社合計で5億ドルのリース延滞料を計上。第二四半期にはさらに2億ドル増加したが、最終的に第三四半期は、第二四半期レベルのわずか1/4程度(4,500万ドル)となった。(ALC $201.6m, AerCap $485m, Fly $60m)

3社レッサーの2020年現時点までの延滞料合計は7億4500万ドルと報告された。

 当期は、上記オペレッサーの2社が赤字。エアキャップは、過去最悪の8億5000万ドルの純損失を計上し、フライは、3年間で初めて純損失となり、830万ドルの赤字だった。航空会社の一部がデフォルトする可能性があったためリース会社3社すべてが現金主義会計に切り替えた。これは、ALC機材の6.6%にあたり収益に2,500万ドルの影響を与えた。エアキャップは15%で、1億ドルの影響。フライは、2,280万ドルの影響で、3社合計は1億4,780万ドルとなった。

 

 Ishkaは、リース会社の第三四半期決算発表を通して 、新型コロナウィルスが航空機リースに及ぼす影響、航空機価値の低下、MAXキャンセルなどの重要な論点を要約整理する。

 

OEMs: Maxキャンセルと「架空の」受注残高

 

 オペレーティングリース会社は、OEM顧客である航空会社とともに、機材の引き渡しを遅らせ、その結果、関連する支払いの削減に努めてきた。 これに対応して、リース会社の幹部達は、ボーイング及びエアバス両者による減産を歓迎した。これにより、今後利用可能な機材のプールが制限される。ボーイングにとって、Covid-19の旅行規制による旅客需要の大幅な減少が与える新型機材の需要減は、737Maxプログラムの苦境に続く大きな打撃であった。FAAは20カ月間駐機されていた当該機に対し、先週運航再開許可を発表した。しかし、多くの顧客にとって、これは遅い結果となった。エアキャップとALCは、2020年第二四半期と第三四半期に43機のMAXのキャンセルを発表している。

 ALC会長Steven Udvar-Hazy氏。「過去2年、生産速度は、楽観的かつ膨張しすぎたように思う。ボーイングとエアバス両社の発注残高は現実的ではなく架空のものであるように感じる。パンデミックによりいくつかの弱点が洗い出され、それらが機材発注のキャンセルや延期につながっている。全範囲にまたがるカットバック、引き渡し、生産速度は、均衡状態に向かっていると思われるが、その速度は非常に遅い。我々は、2022年の春から半ばまでに均衡状態に戻れることを望む。」

 エアキャップCFO Peter Juhas氏。「OEMと協力し、2020年と2021年の設備投資を約60憶ドル削減した。年初からスタートし、これは65%の削減にあたる。2020年と2021年の引き渡しを予定していた90機以上の機体納入をオリジナルプランより2~3年後ろ倒しにする。」

 ALC CEO John Plueger氏。「明日からEUがボーイング航空機の輸入に15%の関税を課すことになるだろうことを本日知った。この報復関税は、主要なMAXおよび787市場であるヨーロッパに対し、MAXを展開していくこと対する脅威となる。」

 

対の宿命:ワイドボディ&貨物機

 

  Covid-19パンデミックは、A330や777などの現行ワイドボディ機の苦悩を加速させた。第三四半期に、エアキャップは、長期的なキャッシュフローの予測に基づき、現行機のワイドボディを‘主な’関連とする9億1,500万ドルの減損を計上した。(アーカイブ参照:エアキャップQ3:ワイド型機9億1500万ドル減損計上で記録的な損失)ALCは787-9とA350-900を最高性能のワイドボディ機として選んでいるが、パンデミックの間は、貨物機が短期的な後押しを続けることに同意している。しかし、これは同社が貨物機に向かうことを長期的にコミットしているわけではない。

 ALC CEO  John Plueger氏。「貨物市場は、多くの航空会社、特に貨物から収益の大部分を牽引している大きな航空会社にとっては非常に助けになっていると思われる。しかし長期的には、貨物市場は不安定であり、主に古い中古機材に偏る。そのため、今日でも短通路、双通路型どちらにおいても、古い航空機の市場である。」

  フライ・リーシングCEO Colm Barrington氏。「貨物市場の傾向は永遠に続くものなのか?私にはわからない。確かに我々は機会に注目しているが、将来、弊社のポートフォリオの重要な部分を貨物機が占めることはないであろう。」

 エアキャップ CFO Peter Juhas氏。「Covid-19により、今日のリース料は低下しているが、ほとんどの機材タイプ(殆どすべて)で、将来的には回復がみられるはずだ。A330 と777シリーズについては、恒久的な割引が続くと考えている。」 

リースに明るい未来?

 

 3人のリース会社責任者は、 Covid-19ショックにより新たな機材を自分たちのバンラスシートに追加することを躊躇う航空会社は多く、新たな資金調達とリース機へのアクセスでレッサーのビジネスは強固になっていることに一致同意。

 フライ・リーシングCEO Colm Barrington氏。「航空会社のバランスシートは若干負債の肥大化で、中長期的には金融市場に戻るのではなく、より多くのリース機を利用する航空会社が増えると思われる。より大きな航空機A380 や747などの機材が特に多く退役しているが、中長期的に見ても、現在の40数パーセントあるリース機シェアは続くものと思われる。」

 ALC会長Steven Udvar-Hazy氏。「トップ層にいる航空機レッサーは、優良な格付けを持つ航空会社よりもはるかに強い流動性があり、より高い信用格付けをもっている。エアリースの資金調達コストは約3%であるが、健全な航空会社でもコストはこれより大幅に高く、多くの場合、当社の2倍以上だ。また政府や銀行と協力し資金調達をする際に、航空会社は最も価値ある資産を抵当権や質権に差し入れる必要があり、その結果、将来使用するはずの借入能力を使い果たしてしまっている」

 エアキャップCEO Aengus Kelly氏。「世界の航空機リース市場シェアは50%にいつ到達するのか?我々は、向こう3年で到達すると思っている。航空会社は機材管理戦略の観点からリース機が生み出すオプショナリティの大きな価値を認識しており、今後36カ月でそのことを我々は見ることになるであろう。」

 

The Ishka View

 

 レッサーは、記録的な損失を出しつつも、航空機リース事業に対するCovid-19の長期的な利益を高めた。エアキャップ、フライリーシング両社は、第三四半期に赤字に落ちたが、民間航空産業にとって非常に不安定な時期が続くかもしれない状況を乗り切るために、銀行や投資家と積極的にかかわりつつ、記録的なレベルに流動性を高めた。エアキャップは、9月30日時点で合計110億ドルの流動性を確保し、ライバルのALCは72億ドルを確保した。第三四半期は、一部の貸手の収益源に対し、航空会社の危機的状況を波及させた結果となった。貸手はリース料延滞の要請に応じることにより、航空会社の当面の費用の一部負担をサポートしたが、航空会社にとって非常に厳しい冬になると予想される時期に、さらにどの程度のサポートが必要となるのかに関心が寄せられている。決算コールの間、アナリスト達の関心は、先週アイルランドの裁判所で破産保護を申請したノルウェージャンに集まった。これは貸手に重大なリマーケティングの課題を残す可能性が高い。Ishkaは旅客輸送は引き続き低迷する可能性が高いと思っており、今後3カ月で航空会社のリストラと破綻が増えるだろうと予想している。厳しい冬季シーズンに向かって、貸手自身が準備を整えておくことにIshkaは期待する。

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