08/06/2021

中古A330はスタートアップエアラインのハートを掴むのか?

Are used A330s winning the hearts (and wallets) of airline startups?

注:本記事は英語にて発行されており、日本語翻訳はあくまで参照です。

この日本語版は、読者のご理解の参考までに作成したものであり、英語版記事の補助的なものであるため、英語版が(正)となります旨、ご了承ください。

この1年中古エアバスA330機を所有する者にとっては厳しい状況である。売却、そしてリース可能なA330の 供給量が、危機前から供給過多であったものの、コロナ禍で上昇している。CAPAフリートデータによると、オペレーター不在である投資家あるいはリース会社が所有するA330は129機に上る。しかし、実際の数値は、はるかに高い可能性がある。当然のことながら、これは現在の市場価値に影響を及ぼす。(詳細は、弊社InsightリポートIshka’s latest Aircraft Pricing Benchmark (APB)を参照)

しかしながら、A330の投資家はこの状況に応戦していると思われる。先月、リマーケティング業者や航空機の所有者など15社が「中古A330-200/300のユニークな魅力(capability)認知度向上」のために、Destination Nextと呼ばれる共同PRキャンペーンをはじめた。そのキャンペーンでは、A330からオペレーターがどのような恩恵をうけることができるのかプロモーションしている。このPRキャンペーンは、資産タイプに特化したセカンダリー流通市場のプレーヤーによって行われた最初の1つであると、Ishkaは認識している。

他の業界の出版物に有料コンテンツを掲載することに加えて、キャンペーンでは革新的なウェブサイトを作成し、機種の利点、経済モデル、利用可能な航空機を紹介。そのうちのいくつかは、TureAeroとGlobal Knafaim Leasingに属している機材である。Destination Nextの広報担当者はIshkaに対し、目標は「既存の、そして潜在的なA330オペレーターにこのタイプの利点を思い出させる」ことであると語った。個人的な見解となるが、あるパートナー組織は、「潜在的な」新規オペレーターに重点を置いているようにも思われる。

 

新規オペレーターの発見

これらキャンペーンが成功するか否かを判断するのは時期尚早であるが、A330に対する新規航空会社からの関心は高まっているようだ。Ishkaの分析によると、2020年初頭からの中古A330の引き渡し(P2Fと貨物除く)は、39機で19社のオペレーターに納入されている。その中には、この機種を初めて使用するオペレーター8社が含まれていた。これとは別に、CAPAフリートデータによると、今までA330ceoを運航していなかった6社のオペレーターが2020年に初めてA330をリース機として(貨物を含む)引き渡されている。これは過去3年間の中で一番多いオペレーター数である。

初期の分析段階ではあるが、新規オペレーターによるエアバスワイドボディ機への関心は高まっていると思われる。しかし、現在オフリース機であるA330を全て配置するにはいまだ不十分な数値でもある。

 Source: Ishka research with expanded details from CAPA Fleets

Note: AELF FlightServices acquired a majority stake in Malta-based Maleth-Aero. AELF owns the A330s on lease to Maleth-Aero.

 

世界の多くの主要なワイドボディオペレーターは、自社で所有する長距離機材の機齢や機材サイズを、選り好みすることが増えている。A330の投資家は、スタートアップの航空会社含め、リースにA330を使用してくれることを期待する。 

ポジティブな兆候

(注)全てのデータをExcelへダウンロードするにはオリジナルの英語版ページをご覧ください

Source: Ishka research with expanded details from CAPA Fleets

最近のリポートや発表されている情報によると、今後数カ月以内に10社にのぼるオペレーターが中古のA330の納入を行うか、導入を検討していることが示唆される。特に、このうちの7社は、A330を運航する初めてのオペレーターである。これらの納入が実現すれば、A330のオペレーターベースを拡大する傾向は、短中期的に続くと思われる。

A330に詳しいあるリマーケティング担当者は、新興オペレーターの関心が高まっているとコメント。新興企業の出現は、市場の混乱の論理的帰結である。しかし、市場関係者によれば、この機種に対するスタートアップからの関心は歓迎されることであるが、航空会社はビジネスケースを示すべきだと言う。多くのスタートアップは、運航証明書(AOC)を申請する前に航空機を確保することに依存するが、それよりも確実性が必要だと述べている。

 

常に供給過多

CAPAフリートデータによると、借主不在のまま、リース会社および投資家が所有するA330は129機(A330-200が84機、A330-300が45機)となり、2019年半ばの39機から3倍に急増。これは、リース料と機材価値に圧力をかけている。当初、最大100機のA330(リース満了を迎えていない機材含む)が積極的に再販されると考えられていたが、現時点で利用可能な機材の実数は、見積もるのは困難であるものの、その数をはるかに超えると予想される。約1,500機のA330ceoが製造され、多く(約1,000機)が、この12年間に引き渡され、リースの返却とファーストオペレーターからの段階的撤退のパイプラインが作られている。

 

さらに上を行く:航空会社を買う

さらにクリエイティブなソリューションを模索する他のA330投資家も存在する。DestinationNextパートナーの 1社であるイスラエルを拠点とするGlobal Knafaim Leasingは、彼らが所有する2機A330を運航するオペレーターを見つけた。リース会社の親会社であるKnafaim Holdings Ltd(ELAL Israel airlinesの過半数を所有しいていた元オーナー)は、先月、キプロスの航空会社TUS Airwaysの49.9%の株式を500万ドルで購入した。TUSはGlobal Knafaim LeasingからA330を2機リースすることを検討していると語っているが、引き続きこの件は、議論が継続しているようである。

Global Knafaim Leasingの直近第1四半期の報告によると、A330-200(MSN1293, 2012年製)とA330-300(MSN1157, 2010年製)のリースを解除していることがわかる。前者は2020年8月にヴァージンオーストラリアによって返却され、後者はシンガポール航空への5年リース後、トランスアジア航空へ短期リースををしていたが、完了した後2016年11月から保管されている。

会社より提出された書類によると、Global Knafaim Leasingは、第1四半期にMSN1293とMSN1157に対し、それぞれ364万ドルと319万ドルの減損を計上している。(提出された)独立した鑑定評価では、減損後の各2機の現在整備調整後の市場価値は、3,272万ドルと3,120万ドルである。

 

Ishkaの見解 

旅客機を航空会社へ配備したい所有者の間で、クリエイティブな方法が生まれている。これは、特にワイドボディ機に当てはまる様だ。スタートアップの航空会社は、多くの機種にとって経済サイクル終了期のグッドホームであったが、これらのオペレーターに対する売り込みは、現実の課題には直結していなかった。Ishkaは、最近のA330の契約には、低いマーケットリース料、利用条項、さらには利益分配モデルに加えて、ワイドボディ市場に参入する航空会社が直面する財務リスクを軽減するものがあると感じている。

Destination NextのようなPRキャンペーンが、より多くの航空会社をA330の運航に引き付けるかどうかはまだわからないが、キャンペーンの広報担当者は、「オペレーターからは好評で、利用可能な航空機についても問合せが入っている」と言う。しかし、パートナーである2社からは、開始から1カ月も経たずに、まだそれらを公表するのは時期尚早であったのではないか、とも個人的には打ち明けられた。Rolls-Royce and Partners Finance (RRPF)は、立ち上げにおいて極めて重要な役割を果たしており、キャンペーンが報われることを期待する。CAPAフリートによると、129機の旅客用A330の約半分は、現在、運航会社不在であり、Trent700エンジンを搭載する。RRPFの親会社であり、キャンペーンパートナーでもあるロールスロイスが提供するトータルケアサービスパッケージは、収入を飛行時間に依存するサービスである。

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