16/09/2021

昨今の航空機取引はPEファンドおよび新規レッサーが推進

PE funds and new lessors help drive recent aircraft trading

注:本記事は英語にて発行されており、日本語翻訳はあくまで参照です。

この日本語版は、読者のご理解の参考までに作成したものであり、英語版記事の補助的なものであるため、英語版が(正)となります旨、ご了承ください。

リース会社の市場関係者によれば、既存の投資家と新たな投資家からの資本の波が現在のマージンを押し下げており、特にセールアンドリースバックにおいてそれが顕著であると言う。

しかしまた、その傾向が、リース機の取引を復活させることを後押ししている。プライベートエクイティ、また多様な専門ファンドやアセットマネージャーの存在は、パンデミック以来、航空機リースおよび航空ファイナンス産業で特にアクティブな存在となっている。


今月、KKRはプライベートジェットチャータービジネスであるジェットエッジインターナショナルにさらに優先出資4,000万ドルを投資した。同社は2019年にアセットマネージャーAltavairと提携し、今年6月には航空機の専門的な貸し手となるAvAirfinanceの立ち上げも後押しした。Griffin Globalアセットマネジメント(Griffin)も、PEファンドが後押しする航空機リース会社の直近の例である。Griffinの創設者兼CEOであるRyan McKenna氏によると、2020年1月にプラットフォームを立ち上げるためベインキャピタルと提携した。今月、同社は5つの新造機737Max8を5機発注したと公表している。1月にIshkaと話したMcKenna氏は、Griffinは柔軟性があり、幅広いレンジの航空機リースへの投資と融資する意欲を強調した。

 

Ares Private Equity GroupとVmoのマネージメントチームは、2021年1月にVmo航空機リース事業を開始した。その際、5億ドルの初期自己資本を集めた。この二社の事業体は、投げ売りやリストラクチャリングされた航空機デッドを購入するアクティブ投資家である(Norwegian’s 2016-1 EETC and LATAM’s 2015-1 EETC含む)。また、両社はリース会社での経験値があるエグゼクティブを複数人採用しており、直近ではMarilyn Gan氏をアジア太平洋地域の責任者として採用している。

「機密情報などありません。超低金利の環境では、PEファンドはリターンを高めるために資本を投入することに努めており、航空リースは、特に市場が混乱している状況において、我々に機会を提供しています。以前はリースプラットフォームのシードキャピタルとして投資していたいくつかのファンドがその事業から撤退し、現在、またこの分野に戻ってきています」と、Watson Farely &Williamsのロンドンのパートナーであり、グローバル航空セクターの共同責任者であるJim Bell氏は説明する。
 

「PEファンドは幅広い投資家を対象としています。これらの新しい航空投資とプラットフォームについては、全員が異なる野心の対象と出口戦略を持っています。彼らは、また、アプローチには非常にオープンであり、顧客のニーズを満たすためにオペレーティングリースとファイナンスの両方を提供します。2021年に一部の貸し手を驚かせたのは、このセクターに対する投資家の意欲がいかに強いかということです」と同氏は付け加えた。 

 

レッサーポートフォリオ取引への関心

 

ファンドや資産運用会社との競争はさらに激しくなる可能性があるが、一般的には特定の種類の取引や航空会社の信用にその手法は向けられていると、市場関係者のリース会社は打ち明ける。多くのファンドが長期リースの新しい航空機SLBを好み、市場がそこを狙うため、リターンが“信じられないほど細っている”とリース会社の担当者は憤慨している。また、他のファンドは、リースされた航空機ポートフォリオの入札に積極的に参加しており、今年の4月と5月には、リースポートフォリオが市場を打撃した。(詳細は、 ‘Trading update: Bocomm reviews off-shore portfolio bids, Castlelake sells Delta 737s’ and ‘Trading update: Avolon signs LOIs for 12 aircraft, GECAS returns with revised portfolio’)

市場関係者によると、2021年のABS市場の再開は、提供されているポートフォリオの情報を市場にPRするだけでなく、資産を取得する投資家への信頼を高めるためにも役立った。

「これらの多くは、安価な債務を利用できる米国を拠点とするファンドによって推進されています。多くの人がこれらのポートフォリオに群がるのを見ましたが、これらのポートフォリオは、新しい買い手のために組み立てられ、かなり厳しいマンデートを負う傾向にあります。新規のバイヤーは状態の良い長期のリースと優良のクレジットを必要としています。彼らは、これは現行機/次世代機のような形でややアグノスティックです。ただ商品を買う必要があるだけのようです。このようなやり方は、一部の人には役に立つでしょうが、そうでなければ考え方を見失います」と、欧州のリース関係者はIshkaに対し今夏のはじめに説明した。

また前述の関係者によると、多くの米国ファンドがおそらく今年の上半期時点では、5%未満で借入が出来、多くが平均して6%もしくは7%のエクイティリターンのハードルを抱えていると推測する。「つまり関係者はプラットフォームにチャージする前に6%または7%の見返りですべてが揃う状態です。また、質の高い中古機の取引、もしくは現行機で平均15%のリターンを約束しているファンドがあることも知っています。このような取引を行うことは実際不可能です。リースがついていない航空機を扱ったり、トリッキーな銘柄や、航空機の残価に非常に積極的に取り組むことで、このようなことが起こっているのではないかと思っています。当社の引き受けに基づいた情報となりますが、強力なクレジットと若い資産を備えた最近のポートフォリオはおそらく3%から6%の1桁のアンレバードリターンを生み出しています。」

「我々が観測していないのは、裸の航空機や単一のエンジンを取得するファンドです。多くの場合、それらのエクイティやデッドの義務により、裸の航空機を配置することができません。これらのファンドは、リース付きでない裸の航空機を購入するための資金はエクイティを用いなければならず、デッドを利用することはほぼ不可能です」と付け加えた。

 

恒久資金と一時的資金
 

PEが保険や年金基金と比較して比較的短期間で収益を最大化しようとする傾向があることや、また多くの新造機リースとローンが歴史的にみて約10年から12年であることから考えても、一見、プライベートエクイティは航空機リースと資金調達の観点から、奇妙な選択に思えるかもしれない。 

しかし、いくつかのプライベートエクイティ企業は、AvolonやElixなどを例にとっても、現在は航空金融およびリース業界内で恒久的なリースプラットフォームを構築する欠かせないものになりつつある。Castlelakeは、航空機の資産管理およびリース事業を構築したPE投資家である。Castlelakeの最高投資責任者兼創設者であるEvan Carruthers氏は、新型コロナ危機によって航空産業に引き起こされた苦痛が、航空機リースのようなニッチな資産クラスにPEとオルタナティブ資本を惹きつけ、大規模なリターンが達成可能であると感じていると説明する。危機以前は、「ほぼ間違いなく完璧に値付けされた」多くの航空機投資は、再プライシングを余儀なくさせられていると、Carruthers氏は説明する。しかし、一時的な資本のリスクは、大規模なリターンを確保するために市場のタイミングと合わせることが非常に難しい。9/11やコロナなどの予期せぬ出来事、または世界的な金融危機が、必然的に投資家の利益に影響を与えると付け加える。これに対抗するために、市場の長期的な見方は、これらの予期しないイベントの管理に役立つ。


「我々の哲学は、業界のリスクを乗り越えることを可能にする大規模なインフラを備えたスペースに根付いた参加者が必要であるということです。パッシブアプローチで飛び込んだり、飛び出したり。。。それが長期的に上手くいくと我々は思っていません。墓場には、タイミングを間違えたプライベートエクイティファンドによる航空機リース事業の機材がたくさんあると思います。もしくは、コロナ危機を乗り切るために必要相応なインフラがなかったものもたくさんあると思います」と、Carruthers氏は説明する。

いくつかのPEファンドは、リースプラットフォーム自体に積極的に投資したり、プラットフォームをゼロから構築したりしているが、多くは依然として専用の第三者の資産運用会社を介して航空機に直接投資している。1月、クレジットマネージャーのKennedy Lewis Investment Management有限責任会社は5億ドルの株式投資を提案し、航空機アセットマネージャーのArena Aviation Capitalとともに、新しい15億ドルの航空機リースプラットフォームであるKLAアビエーションファイナンス(KLA)を設立することに合意した。KLAの最初の焦点は、若く新しいリース付きナローボディ機を取得することである。


ArenaのCEO Partick den Elzen氏は、複数の投資家を持つことの利点は航空機を調達する機会に柔軟性が生まれることであるとIshkaに語っている。「航空機に投資したPEファンドで働いているチームで昨年大きなチャンスを見た特定のPEファンドがいます。そのPEの上級管理職がその機会に即答できた企業もあれば、ハードアセット投資を行うことに興味がなかったために、その機会を捉えられなかった人たちもおりEETC、ABS、不動産、または全く異なる資産に投資することに興味を持った人たちもいました。素晴らしいチームを持ち、素晴らしい機会がある、しかし、上席役員たちから権限を得られず行動に移すことができないため機会を逸するかもしれません。それに対し、我々は、非常に自由であり、行動にうつすための資金をみつけることもできました」。


Ishkaの見解
 

2021年は、より多くの投資家と資金が押し寄せ、航空機リースの収益が圧迫された。Ishkaでは定期的にセールアンドリースバック市場をリポートしているが、12か月の間にリースレートがどれだけ急速に下落したかトラックしている。また収益が継続して減少した場合、現在利用可能な資本の一部が航空機リースにどれほど粘り強く固定できるのか予測することは困難である。

ただし一方で、PEが支援するいくつかの新しい航空機リースファンドと資産運用会社は、特に長期のリターンを求める投資家にとって、恒久的な定着した存在になる可能性がある。いくつかのファンドは依然として短期的な苦境にある機会を探している。より多くのレッサーが航空機の減損を余儀なくされるか、公式および非公式のリストラクチャリングの解決策を模索することを余儀なくされることで航空機がでてくる可能性がある。しかし、Ishkaと話した投資家によると、これまで出てきたディストレスな状況は比較的限定的だったことに驚いていたと話していた。債務返済の必要性と航空会社からの減収とのバランスをとるため、より多くのリースプラットフォームがストレスにさらされる可能性があると予測する者もいる。その一方で、そのことに確信をもてない者もいる。

 

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