30/11/2020

エンジンレッサー Q3

Engine lessor Q3: Rental revenues slump as Fortress snags discounted CFM 56s

本記事は英語にて発行されており、日本語翻訳はあくまで参照です。

この日本語版は、読者のご理解の参考までに作成したものであり、英語版記事の補助的なものであるため、英語版が(正)となります旨、ご了承ください。

 市場関係者は、エンジンレッサーと投資家が、現行機エンジンを“極めて投げ売り”価格で購入していると語った。それらのエンジンは、ショップビジットに近い状態のCFM56-5B及び-7Bエンジンである。100万ドル近くになるほど安値のときもあった。

 FortressTransport and Infrastruture Invesotrs(Fortress)は、第3四半期決算発表で、CEOのJoseph Adam氏が、CFM56エンジンをわずか100万ドル程度で購入した投資家の1人であり、全般に過剰な在庫が“非常に魅力的な”エンジンの価格を誘導していると説明した。

 Fortressはレターオブインテント(LOI)の下、約70台のCFM56エンジンを所有しており計約2億ドル(約290万ドル/1台)となる。資金は今年第4四半期もしくは来年第1四半期に用意されるとAdam氏は期待する。業界筋は、この取引を“間違いなく”コロナ価格だと語っており、コロナ前の水準価格はこの30%から40%は高いはずだと見積もる。しかし、価格への打撃は、リース料の急落を伴っている。FortressとWillisLease Finance Corporation (Willis Lease)は、2020年第3四半期に現金回収の落ち込みを報告しており、WillisLeaseは、前年比39%減の3億ドル、Fortressの機材リース収益は、前年比20%減の6億9800万ドルであった。

 エンジンレッサーは、パンデミック期間において、一部航空会社とリース料の繰延とPBH(時間単位使用)の取り決めを行ったと発表している。CFM56の使用率は第2四半期比では、上昇しているが、2019年比では依然低いままである。Fortressの当期の記録では、CFM56の使用率は60%であった。コロナ前は80%同等レベルの使用率であったが、10月までには75%になると見積もる。一方、メーカーSafranによると、CFM56エンジンのウィクリーフリートサイクルは、特にヨーロッパでは、夏の回復が予想より遅かったにも関わらず、7月末時点では52%減、Q3末時点では前年比48%減であったと述べられている。また、CFM56を搭載した68機が2020年9月末に退役したのに対し、2019年末は133機の退役であった。 

 

SLBの機会は下層の航空会社へ

 パンデミック間に行われたエンジン取引の多くが、流動性を求める航空会社からのセールアンドリースバック(SLB)であった。エンジンレッサーは、レッサー間でのエンジン取引、またパーツアウトへの売却を「All but dead(殆ど死んだも同然)」と表現する。FortressのAdam氏は、航空会社は引き続き現金を欲しているため、“少なくとも来年は”、アクティブなエンジンSLB市場があることを期待すると語った。今夏のエンジンSLB市場は、政府の支援によって緩んだと同氏は説明するが、第3四半期に支援がトーンダウンしたため、エンジンSLB市場は再度活気づいているようだ。

 「エアラインの資金は乏しい。メンテナンスショップにも資金がない。我々はエンジンに投資することを厭わない数少ないプレイスの1つだ。1年前には予想もしていなかった今のビジネスに大きな後押しが与えられている。。。」とAdam氏。しかしながら、エンジンSLB市場は、“クレジットを気にしない”なら活発な市場であると、エンジンリースの関係者は語る。「エンジン使用率の低いトップ層航空会社が欲しいとしたら、それはほんの一握りだ」。 Adam氏はさらに、航空会社は2021年第2四半期までにスペアのエンジンの容量を使い果たし、高額なメンテナンス作業を回避するために、スポットエンジンリース市場に目を向けるだろうと予想する。ただし、これは遊休状態の航空機がまだ市場を満たしていることを考えると、「非常に野心的」な予測だと指摘する市場関係者もいる。

 

売る相手がいない

  キャッシュリッチな者たちは投げ売りエンジン価格のおかげで安い取引を多少生み出しているが、障壁が明らかにならない限り“売る場所がない”ことを多くのエンジンレッサーに対し残しただけである。Fortressは、2019年第3四半期は3700万ドルの利益であったのに対し、今期は資産の売却で1100万ドルの損失。また3900万ドルの減損を資産で計上した。

 AdamsCEOは、決算発表で、第3四半期にメンテナンスを予定していた747や767に主に搭載されるCF680とPratt4000エンジンをパーツアウトのために売却した。同氏は、「貨物市場の需要を考えると、部品市場はかなり堅調だ」と述べ、「CF680とPratt4000エンジン市場の向こう60カ月間の見通しは若干くらい」と言い添えた。同社は1台あたり100万ドルの利益を狙うため、2021年に20台のエンジンのパーツアウトを目指す。

 そうはいっても、パンデミックによる退役率と遊休機材率が加速していることから、パーツアウト需要がどれほど堅調であるのか疑問が残る。WillisLeaseの最も厳しい減収は、例えばスペアパーツや部品の売却によるもので、収益は対前年比88%減となり、2440万ドルから290万ドルに急落した。これに対し、スペアパーツ在庫は、32%増加し、5500万ドルに上がった。

The Ishka View

 投げ売り価格によりFortressのような業界最大の投資家は格安エンジン資産を手に入れた。その一方で、過剰在庫を抱え困難な状況のエンジンレッサーもいる。パンデミックな状況下でなかったら、このような過剰在庫は他のリースプラットフォームへ売却されるか、パーツアウトできたであろう。代わりに、レッサーは減損を回避するため在庫をしっかり抱えている。現在の多くの取引は、現行ナローボディ機(CFM56-5B, -7B、およびV2500)が中心である。しかし政府支援にアクセスできない下位層に位置する航空会社ではしばしば取引が行われているようだ。

 パンデミック下、航空機体のカウンターパートと同様に、エンジンレッサーも一部顧客からリース料延滞要請を受け、その要請に応じている。これはレッサーのリース料収入に打撃を与えた。エンジンレッサーは、不払いと延滞要請の割合を下げようと試みているが、多くの航空会社がまだリースエンジンを遊休資産としており、難しい交渉になると思われる。

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