06/08/2018

エアバスA321XLRの可能性について

 Does the Airbus A321 have the X(LR)-factor?

ボーイング社は2005年を最後に757を納入した後、事実上の後継機となる新中型機を投入するのだろうかという話が、ここ数年、民間航空機市場で語られている。2015年からその存在がうわさされている新型モデルは、「NMA」(New Midsize Airplane:新中型機)または「797」と呼ばれ、座席数220270の間を埋める位置付けと考えられている。大きく線引きすると、ボーイング社とエアバス社が製造する最大のナローボディ機(ボーイング737-10、エアバスA321neo)と最小のワイドボディ機(ボーイング787-8、エアバスA330-800)との間に位置する機体とされている。この新型航空機の航続距離は約9,260 kmである。

 

ボーイング社が、開発中の航空機の最終的な性能について、引き続き決定段階にある一方で、エアバス社もA321の積載量や航続距離をさらに改良した。同社はさらなるA321XLRの開発を進めており、同機の投入によりNMA市場における優位なポジションの獲得を目指している。

 

1994年にA321-100がアリタリア航空で初めて就航した際、乗客185人と荷物を乗せ、航続距離は4,260 kmであった。それから25年が経過し、2018年第4四半期に就航予定の最新型A321neoLRは、座席数が244で航続距離は約7,410 kmにまで延長した。エアバス社の開発は続いており、A321のさらなる改良を進めることで、ボーイング社と真正面から対決する姿勢を見せている。

 

現在エアバス社を牽引しているのは、長距離路線もカバーすることで就航ネットワークを拡大している格安航空会社(LCC)である。ボーイング社が40年前に757767NMAA321XLRが後継機になると思われる)を開発した際、エアバス社では「ボーイング社は素晴らしい性能の757767を開発したが、これらを上回る航空機を作るのは難しいだろう」との評判が生まれ、それは現在も語り継がれている。エアバス社は航空機を新規開発するために多額の資金を投入することは避け、A321A330と共に、757767のような道を目指すことを選んだように思われる。

 

航続距離を延長する設計を採用したA321

 

エアバス社はA321LRの改良や変更について詳細を公開していないが、同機は2019年に発表されると思われ、ボーイング社が797の就航を目指す2025年より前の20212022年の就航が予想されている。

 

XLRの航続距離は8,335 km以上を目標としている。航続距離が同程度まで伸びると、ヨーロッパの東側にある空港から米国の西海岸まで、大西洋を横断する長距離路線の就航が可能となる。

 

どのようにして既存の設計に改良を加えて航続距離を延長するのだろうか。中央の燃料タンクを大きくすることで、目標とする延長距離の約半分はカバーできるだろう。発表されているスケジュールが最終的なものであるかは不明だが、座席数の増加に対応するためのコンセントや複合材構造体を採用した新型の翼など、機体の根本的な改良も必要となり、試験と認証の時間がさらに必要となることが予想されるため、スケジュールに影響が出る可能性もある。翼幅の増大(折り畳み翼の可能性も)やCFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)を使用した主翼ボックスで重量を削減すれば、開発スケジュールに間に合うと思われる。さらなる航続距離の延長が必要な場合は、長距離フライトでの効率を上げるため、翼幅を拡張することが現実的なオプションになるだろう。それにより、中央のタンクに加えて、より多くの燃料を運ぶことが可能になる。しかし、積載量を減らさず既存のエンジンをこのように改良することは不可能であるため、積載量を減らすことに反対する声が航空会社から上がる可能性がある。また、100トンを超える最大離陸重量(MTOW)に達する航空機に必要とされる、空気力学面での改善やランディングギアの強化も必要となるだろう。

 

航空機の運営的な視点、特にLCCから見ると、機体の長いナローボディ機の不利な点は、迅速なターンアラウンドが困難なことである。また、ナローボディ機が就航している長距離路線のゲートでは、航空会社が行う機内持ち込み荷物の検査のために乗客の乗り降りに時間がかかるだけでなく、航空機の給油も必要となってくる。NMA用の小型ワイドボディ機に関するボーイング社のコンセプトではこれらの点について改善されると思われるが、抗力の問題は残るだろう。

 

Ishkaの見解

 

すでに十分な数が存在する民間航空機の市場に、中型航空機が入り込む余地はあるのかという疑問が残る。この点を切り離して考えてみても、中型航空機の役割は不透明である。ボーイング社は小型航空機と大型航空機のギャップを埋めるべく新たな設計に取り組んでいるが、詳細が発表されるまでは推測することしかできない。737が限界に近づいてきたボーイング社とは対照的に、エアバス社は既存の航空機をさらに改良することで競争力を維持しており、今後も航空会社の注目を集めると思われる。研究開発の観点から見ると、エアバス社は安全な選択をしたと言えるだろう。

 

このような動きはすべて、737の後継機を投入するためにボーイング社が行っているプロモーションの一環ではないかとの見方もある。いずれにしても、ボーイング社が中型航空機の正式な投入(または中止)の検討に時間をかければかけるほど、今後510年の間にエアバス社が中型航空機の市場シェアを拡大することになるだろう。さしあたり、エアバス社は次の一手を打たずに待機戦術を取り、ボーイング社に動きがあれば対応するというスタンスを維持すると思われる。

 

注:本記事は英語にて発行されており、日本語翻訳はあくまで参照です。

この日本語版は、読者のご理解の参考までに作成したものであり、英語版記事の補助的なものです。あくまで英語版が(正)となります旨、ご了承ください。

 

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