15/03/2021

2020年Q4 上場航空機リース会社 新たなセールアンドリースバック戦略と機材減損処理について語る

Q4 2020: Public lessors talk about new SLBs and aircraft impairments

注:本記事は英語にて発行されており、日本語翻訳はあくまで参照です。

英語版が(正)となります旨、ご了承ください。

 

上場航空機リース会社3社のエアキャップ、エアリースコーポレーション(ALC)、フライリーシング(フライ)は、2020年第4四半期決算発表で、機材の減損処理の精査に直面したと述べた。この四半期に、エアキャップとフライを合わせ、1億4200万ドルの減損を計上し、その大部分(1億600万ドル)はフライのA330sの資産によるものであった。

2020年に減損を回避したのは、この3社中、唯一ALCのみで、CEOのJohn Plueger氏は、“機齢4年のフリート”所有が助けになったと考える。

Ishkaは、3社の決算発表を通して主要テーマとなった、関税、リース料繰延、SLBの機会などを要約する。

フライは合計9機の機材に関連する1億1,500万ドルの減損を計上した。Ishkaの理解では、フィリピン航空によって2021年早期に2機の7年ビンテージA330-300が返却される可能性が高く、上記減損にこの1億600万ドルが含まれる。(詳細はFly Leasing posts Q4 loss after $106mn impairment for two A330sを参照)

フライのA330の減損規模は、エアキャップの決算発表中、アナリストからも注目を集めた。同社は、第3四半期に、“主に”A330と777に関連する9億1500万ドルの減損を計上している。CEOであるAengus Kelly氏は、フライの減損について質問を投げかけ、「すべてのコストを回避する必要がある」と述べた。また、エンドオブライフのワイドボディ投資に関する悲観論を繰り返した。

「ワイドボディ機は、短期間で大きなリースキャッシュフローを生み非常に魅力的ではあるが、過去5~6年の間にA330もしくは777を購入しているとしたら、リースの現実に痛い思いをする」と付け足した。

 

 リース料延滞要請は増加

上記3社は、昨年時、大幅なリース料の延滞について、借手と合意している状況である。2020年期末時点でのエアキャップの残高は4億9000万ドル、ALCは2億4,040万ドル、フライは5,400万ドルであった。航空会社はリース会社に引き続きサポートを要求している状態ではあるが、エアキャップCFOのPete Juhas氏は、年間を通して“徐々に”延滞残高は減少すると予想しており、またエアキャップCEOは、Q4では要請がスローダウンしたと“鼓舞”する。

同様に、FlyのCFOであるJulie Ruehl氏は、リース料延滞の返済は、「2021年に大幅に増加するだろう」と述べ、延滞の約半分は年末までに返済される予定であると言う。

ALC CFOのGreg Willis氏は、第4四半期に新たに要請のあった数は、2020年前半よりも大幅に下回り、主に再建中(リストラ中)の航空会社の現金主義は改善されていると述べた。

 

SLBの機会を模索

上述3社は、2020年を通しSLB市場では特に活発な活動を行ってはいなかったが、少量ではあるも取引を開始している。ALCは第4四半期に“セカンダリー市場”から14機を購入。エアキャップCEOも、「2013年以来、久しぶりに少量ではあるが、SLB市場に資本を投入しはじめた」と述べた。

Pluger氏は、エアバスとボーイングの納入遅延により、直接注文の設備投資は減少すると予想しており、2021年も引き続きSLBの“機会”を検討すると語っている。Kelly氏は、SLB市場の機会は、製造プロセスと納入遅延のために“合理的に制限された”ままであると言うが、コロナ禍後、航空会社は、リース会社のオーダーブックとSLBチャネルへの依存度を高めるだとうと指摘した。FlyのCEOは、これまでと同様にSLBを介して新しい貨物機を購入できると述べていたが、貨物機市場の過熱は継続するだとうと用心深くなっている。「しかし、今までと同様に良い状態の貨物機を良好なリースと条件の良いファイナンスでアクセスできるなら、過去と同じように貨物機を狙うであろう」とコメントを追加した。

 

輸出関税について

EUと米国は3月5日、エアバスとボーイングの紛争に起因する輸出に対するすべての懲戒関税を、バイデン米国大統領とフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長との話し合いの後、4カ月間停止することに合意。この発表に先立ち、エアキャップとALCは、関税が事業に与える影響について議論した。

ALCのSteve Hazy氏は、関税はボーイング機をヨーロッパに納入する際の「最大の障壁」であると述べ、Pluger氏もまた、昨年以来、まだ納入されていないLOTポーランド航空の787型機を例に挙げ、「実際、顧客の受容性や“航空機”を利用する能力よりも、関税の状況に関心がある」とコメントした。エアキャップのKelly氏は、関係者全員にとって「それは単なる損失でしかない」と批判した。

 

またALCとエアキャップは、OEMの製造上にある問題が、新しい航空機の継続的な納入遅延になっていると非難した。ALCは、大幅な遅延により2021年の営業活動に支障がでると予想しており、ボーイングおよびエアバス社と“協議を続け”て、今後の延期の程度を決定していく。Plueger氏もまた、ボーイングの製造の遅れを非難し、OEMは「受注通り機材を与える」べきだと述べた。エアキャップのKelly氏は、エアバスが「今年も目標を達成する」のに苦労するだろうし、ボーイングは「現時点で実際に機材を引き渡していない」とコメントした。

 

Ishkaの見解

上述の3社はいずれも厳しい2020年を経て、今年以降は楽観的な見通しを示している。3社は、第4四半期では、新たなリース料の延滞要請がスローダウンし、2020年の繰延収益が今年は回復してくると期待する。次回の四半期結果は、一部の地域で発生した新しい旅行制限と典型的な冬の需要減の組み合わせで航空会社の最終的な試練の結果を見ることが出来ると思われる。

4カ月の期限付き関税停止措置は、一部の停滞した新しい機材の引き渡しがこの四半期で再開するインセンティブを提供する。またテストされ続けているリース会社ビジネスのもう一つの側面は、減損に対する影響の受けやすさである。フライのCEO Julie Ruehl氏は、リースの早期返却が将来の減損の起因となる可能性の高さを指摘した。再建中である多くの航空会社は、2021年に機材を削減しようとしているが、今年後半にALCとエアキャップがさらに減損処理する必要があるかどうか興味深い。

しかし、おそらく最大の問題は、フライとエアキャップが今後、現在と同じプラットフォームを維持し続けるかである。フライリーシングは1月に売却を検討していると報じられた際、CEOのColm Barrington氏は“噂”として却下した。また、エアキャップは3月9日にゼネラルエレクトリック社からのGECAS購入契約に合意し、プラットフォームを大幅に変革する。(詳細は、AerCap buys a discounted GECAS to build a ‘super lessor’’).

 

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