15/12/2021

航空産業の回復はオミクロンにより少なくとも3~4ケ月遅れる

Omicron set to disrupt aviation recovery by at least 3 or 4 months

この日本語版は、読者のご理解の参考までに作成したものであり、英語版記事の補助的なものであるため、英語版が(正)となります旨、ご了承ください。

Ishka⁺プラットフォームが提供するポッドキャストから:

ベテラン航空ファイナンスの市場関係者は、オミクロン発生に伴い空の旅の回復は少なくとも3~4ケ月さらに遅れるだろうと予想する。インディペンデント・コンサルタントのDick Forsberg氏およびMUFGリサーチ部門責任者のBert Van Leeuwen氏は、回復が遅れると航空会社のキャッシュフローに、さらに負担がかかり、航空会社のリストラが拡大する可能性があると述べている。

新変種に関する予備的な情報に基づいて両アナリストは、「オミクロンにより航空会社はさらなる返済猶予をリース会社に求め、特に双通路型機では、PBH条件が求められるでしょう」と、コメントを追加。

「航空会社に対するリース料措置の寛大さは、大きく戻ることはないと私は思っています。現在実施されているPBH(時間単位契約)は、おそらく延長を求められるものもあると思いますが、ケースバイケースで行われるでしょう。単に3カ月のリース延滞を承認し、それをリース終了時に置き換えるようなことにもう戻るつもりはありません」とVan Leeuen氏は付け加えた。

Forsberg氏は、11月に南アフリカで最初にオミクロンが報告されて以来課されてきた多くの渡航禁止は、主にワンパターンで反射的な政府の対応であったと強調。「この次の波は、非常に急速に到来しており、正しいか間違っているかを問わず、政府は何かしらの対応をしているところを見せなくてはならなかったはずです。そして、オミクロン感染の99%が市中感染であることが明らかであり、国境をシャットダウンしたように見えます」と説明。

世界保健機関(WHO)によると、オミクロンの発生は、12月12日までに63ケ国で報告されており、さらに多くの国が日々追加されている。WHOは、初期段階での流行や新種発生の国々からの渡航禁止令の妨げを助言しているが、欧州の43ケ国 だけでも、12月の第一週に渡航禁止令を課している。これまでのところ、日本、イスラエル、モロッコだけが外国人観光客を完全にシャットダウンしており、インドとオーストラリアは、計画されていた国際渡航制限の緩和を延期した。

(このリポートが配信される頃)英国はレッドリストから11カ国を除外。オミクロンの症例が英国と世界中の国々で増加するにつれて、レッドリストの存在は、オミクロンの侵入を遅らせるための効果としては、薄れていると主張している。OAGのスケジュールデータによると、航空会社は、特段短期的なスケジュール変更を行っていないことを示唆しているが、一部の航空会社の予約パターンでは、すでに悪影響を受けていると警告している。

 

機材取引にまだ影響は現れていないが、機材斡旋は困難になりつつある

 Van Leeuwen氏によると、航空機を追加し利用することを躊躇う一部の航空会社が存在するために、オミクロンはレッサーにとって航空機の斡旋を困難にする可能性が高い。同氏はまた、危機の継続は、より多くの航空会社が何らかの形でリストラを受ける可能性があり、長距離旅行の回復が限られていること、ワクチン展開が不均一であることから、特に東南アジアの航空会社の一部は脆弱であると警告する。

「我々はまだ、デルタ株の波と既存ウィルスからの影響を終わらせてはいません。それゆえに、これは航空会社の問題を大きくし、より多くの航空会社が問題に直面することになると思います。レッサーは、リースから戻ってきた航空機、特に経年機を次に斡旋することが困難な状況になっています。レッサーがこれらの航空機を配置するのは、彼らが許容するリース料の範囲で行うのは難しいでしょう。それに加えて、現在リストラ中の東南アジアの航空会社から戻ってくる航空機がさらに数機あると思います。」

 

現在までに、63社の民間航空会社が、2020年3月以降、リストラ手続き、清算、もしくは操業停止となっている。(詳細は、Insight: "Avianca emerges from Chapter 11, LATAM submits restructuring plan”).

 

スロースタートとなる2022年 

通常1月はレッサーにとって、その年の買収ターゲットを設定し、“売却するリース機のポートフォリオ”準備に追われる忙しい月である。しかし、2022年1月はオミクロンにより開始が遅くなるであろうとForsberg氏は警告する。「通常の経済環境では、12月31日までに取引を成立させようとプレッシャーは大きいですが、今年はそのプレッシャーもやや少ないようです。注意がもっと必要だからです。より多くの関係者が、“立ち戻り、もう少し状況がクリアになった2022年に転がり込むことができれば”と言っています。欲求不満を募らせ、資金をどこかに充てたいと言う投資家が多くいますが、慌てて最初の取引をするつもりはありません。適切な案件を我々は見つけるつもりです。」

ただし、Ishkaは、リース機を購入しようとする潜在的なレッサーが多くいることも認識している。Van Leeuwen氏によると、ポートフォリオを構築しようとするレッサーからウェアハウスローンに対し一定のリクエストがあるという。その一部はポートフォリオをABS市場に持ち込もうとしている可能性があると述べている。

Forsberg氏は、また、一部の航空会社が、キャッシュフローの弊害を理由に、リースではない機材を利用し、現金を調達しようとする可能性があるため、2022年も引き続き取引があると考えている。2022年の新規デリバリーの資金源は、再び航空機リースが60%から65%へ“楽に”移行するだろうと同氏は期待する。

 

 

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