07/06/2021

SKYは航空機ABSで記録的なイールドを実現

SKY achieves record yield on aircraft ABS

注:本記事は英語にて発行されており、日本語翻訳はあくまで参照です。

この日本語版は、読者のご理解の参考までに作成したものであり、英語版記事の補助的なものであるため、英語版が(正)となります旨、ご了承ください。

航空機リース会社Sky Leasing(SKY)は、6億6,300万ドルの資産担保証券(ABS )SLAM 2021-1を記録的なイールドでクローズした。航空機ABSとしては、過去最も低いイールドであった。

このABSは現在クローズしているが、デルタ航空にリースされている10機のA321neoと2020年製A330-900型1機を含む計16機。資金は、15機の単通路型機を購入する資金に使用される。Ishkaのリサーチによると、これらポートフォリオ内機材の95%はセールアンドリースバックで調達され、90%がパンデミック発生後に取得された機材であると認識している。

航空機ABSとしては、ポートフォリオの平均機齢がこれまででもっとも若いことを特徴としており、平均機齢は1.6年、加重平均リース期間は、11.1年である。

本案件は、2層構造になっており、5億9,240万ドルのAノート、金利は2.434%、7,070万ドルのBノート、金利は3.422%である。LTVは、それぞれ67%と75%。

Ishkaが確認したところ、本案件ピーク時の購入申し込みは、Aノートが3.5倍、Bノートは18倍だった。価格が引き締められた後も、Aノートは2倍、Bノートは9倍の予約が殺到した。

SLAM 2021-1はSky Aero Management LimitedとSKY Leasing LCCがサービスを提供するが、SKYの関連会社がSLAM2021-1の株式を持ち続ける予定。SKYはSLAM取引からの収入で既存のウォーターハウスデッドファイナンスファシリティの借り換えを予定していると述べている。

SKYの資本市場責任者であるMatthew Crawford氏は、次のように語っている。「我々が実施したABSの成功は、ポートフォリオの航空機材と航空会社の水準が評価された結果である。この需要は、非常に困難であったこの12カ月間の運航環境を考えると、当社の顧客である航空会社の能力の証だ」。Crawford氏は声明の中で、「SLAMポートフォリオは、航空機ABS史上最も低いイールドにも関わらず多様なグローバル投資家グループを引き付けられたことは大変嬉しいことだ」とコメントした。

ポートフォリオ: 1x A330neo & lots of A321neos
 

16機で構成されるSLAM2021-1は、小規模な航空機ABSポートフォリオの1つだ。16機のうち15機(価格ベース87.5%)がナローボディ機で構成される。10機のA321-200neo (価格68.7%)、B737-900ERが2機(価格4.9%)、A321-200が1機(価格3.5%)、B737-800が2機(価格4.9%)。また15年リース契約がベースとなる2020年製造のA330-900 の1機も含まれる。

格付け会社Krollによると、取引にはコベナンツ条項があり、それらは、少なくとも納入予定期間に5機の機材引き渡し、あるいはAノート、Bノートを加速償却させ即金で払わなくてはならないというものである。ポートフォリオ内の737-800型機2機がまだSKYもしくは関連会社所有にはなっていないが、それ以外の航空機は、270日以内に移転される予定だ。

 

構造強化


今回のSLAM2021-1は、航空機ABSに共通する典型的な構造的特徴に加えて、Covid-19によって引き起こされたいくつかの構造的強化も含まれている。例えば、パンデミック前の航空機ABSに共通していたのは、6カ月のDSCRテストであったが、現在は、3カ月のDSCRテストが含まれる。

さらに、取引にはセキュリティデポジットも含まれる。Krollによると、デポジットの超過額(現金準備金)は、Aノート、Bノートの利払いをカバーするために使用され、エクイティには使用されない。

Krollによると、この取引には9カ月の流動性ファシリティと1.15倍のDSCR、また現金準備金があるが、早期償還トリガーが含まれており、DSCRが1.15x未満もしくはポートフォリオの利用率が3カ月以内に75%を下回った場合に使用される。

納入期間終了時に所有する航空機が5機未満に至った場合も加速減価償却が発生する。同様に、DSCRキャッシュトラップは、DSCRが1.2xを下回った状態が3回続いた際、その後の支払い日以降に発生する。しかしその後、連続して3回1.2x以上にとなれば適正な状態に回復したとみなされる。

 

Ishkaの見解

SLAM2021-1は、Ishkaがこれまでに見た中で最も強力な航空機ABSの1つであることは間違いない。若年の資産、信用度の高いレッシー、そして決定的なのは、11年以上の平均残存リース期間の組み合わせであることだ。これは投資家への説明にも魅力的に映り、役立つはずである。SKYが投資家の関心レベルに基づきCノートを発行する誘惑にかられるかは興味深い。

いくつかのコンファレンスで、航空機ABSパネ­ルの直近議論は、パフォーマンスの良い資産を選択したポートフォリオ vs 多様な資産を織り交ぜたポートフォリオの価値についてである。パネルの1人であった銀行家は、多様性は単に多様性ということに価値があるのか?と説明していた。SLAM2021-1は特に多様性を持つポートフォリオではない。これは一般的な航空機ABSよりも少ない航空機プールであり、上位3社のレッシーは、JetBlue, Delta, Indigoがほぼ80%を占める。また機材はA321-200neoがポートフォリオの68%を占めており、レッシーの71%は米国を拠点とする。

Ishkaは、他にもいくつかの航空機ABS取引が準備されていることを認識しているが、パイプラインに上がっている他の航空機ABSが、資産の選択に関して同様のアプローチを採用するかは、明らかではない。新しい航空機材を信用度の高いレッシーにリースすることは極めてレッサー間の競争がはげしくなっていることから、SLAM2021-1を前例にすることは難しいかもしれないと思われる。

 

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